韓国2軍相手に「夢遊病患者」と酷評された中国代表の東アジアカップ惨敗

中国代表の東アジアカップ惨敗:「夢遊病患者」と自国メディアが酷評
2025年東アジアE-1サッカー選手権での中国代表の成績が、中国国内で大きな論争を呼んでいます。韓国で開催された今大会で、中国は韓国に0-3、日本に0-2で連敗し、最終的に香港に1-0で勝利するも3位という屈辱的な結果に終わりました。特に注目すべきは、中国メディア「捜狐網」が自国チームのパフォーマンスを「夢遊病患者のように本能だけに頼っていた」と痛烈に批判したことです。
この大会は、中国代表にとって2026年ワールドカップ予選に向けた重要な試金石でしたが、結果は期待を大きく下回るものとなりました。暫定監督のデヤン・ジュルイェヴィッチ体制で臨んだチームは、韓国と日本の2軍相手に全く歯が立たず、中国サッカーの現在地を如実に示す結果となったのです。
韓国戦0-3惨敗:「アジア1流対3流」の現実

7月10日に行われた開幕戦の韓国戦は、中国代表にとって悪夢の始まりでした。韓国はヨーロッパ組を除いたKリーグ中心の編成でしたが、李東炅(8分)、朱玟奎(21分)、金周成(57分)のゴールで中国を圧倒しました。試合後、中国の解説者劉建宏氏は「韓国サッカーはアジア1流、中国サッカーは3流」と厳しい評価を下しました。
統計面でも中国の劣勢は明らかでした。シュート数は5本でわずか0本が枠内、一方韓国は15本中7本が危険なシュートでした。中国メディアは「客観的にも主観的にも技術的・戦術的準備の面で困難を抱えていた。チーム全体が夢遊病患者のように試合を通して本能だけに頼っていた」と自己批判を展開。さらに「2軍または3軍に近い日本と韓国の布陣相手に、中国は統制力を全く発揮できず、攻守の効果的な切り替えが困難で、攻撃は過度にサイドに依存していた」と具体的な問題点を指摘しました。
日本戦0-2でさらなる屈辱:連続無得点の衝撃
7月12日の日本戦では、細谷真大と望月ヘンリー海輝のゴールで0-2の敗戦を喫しました。この試合で中国は2試合連続で無得点という屈辱的な記録を作ってしまいました。日本も韓国同様、主力選手の多くがヨーロッパ組で不在の中での編成でしたが、中国は全く太刀打ちできませんでした。
森保一監督は試合前に「中国は初戦で負けましたが、彼らのポテンシャルは非常に高い」と評価していましたが、中国ファンからは「社交辞令」「わざとらしい」との冷ややかな反応が返ってきました。試合内容も日本の圧勝で、中国代表の攻撃力不足が深刻な問題として浮き彫りになったのです。実際、この敗戦により中国代表は2025年に入って初めてのフィールドゴールを香港戦まで待たなければならない状況に陥りました。
香港戦1-0勝利:唯一の勝利も批判の的
7月15日の最終戦で中国は香港に1-0で勝利しましたが、この勝利すらも中国国内では批判の対象となりました。黄正宇の20分のゴールが決勝点となりましたが、格下とされる香港相手に辛勝という結果は、中国サッカーの現状を象徴するものでした。中国メディアは「これが中国代表の2025年初のフィールドゴール」と報じ、攻撃力の深刻な低下を指摘しました。
試合後、暫定監督のジュルイェヴィッチは「強い相手との貴重な経験を得た」とコメントしましたが、ファンからは「香港相手に苦戦するようでは話にならない」との声が上がりました。最終的に中国は勝点3で3位という結果に終わり、1位日本(勝点9)、2位韓国(勝点6)、4位香港(勝点0)という順位が確定しました。
中国ファンの怒り爆発:「荷物が多すぎる」論争も
中国代表の惨敗に対し、国内ファンの怒りは頂点に達しました。微博(Weibo)などのSNSでは「サッカーを完全に禁止すべき」「国家の恥」といった厳しい批判が相次ぎました。特に話題となったのが「荷物が多すぎる」問題で、空港で大量のスーツケースを持つ選手たちの写真が拡散され、「優先順位が間違っている」との批判を浴びました。
中国代表側は「トレーニング用機材21個、試合用機材9個、科学分析機器3個、医療用物資23個」と内訳を説明しましたが、ファンからは「服だけでいい。どうせ負けるんだから」「まるで移民か引っ越しのようだ」「バカンスついでにちょっとサッカーをしてくるだけ」といった手厳しい反応が返ってきました。この論争は中国サッカー界の根深い問題を象徴する出来事となったのです。
暫定監督ジュルイェヴィッチの限界と退任
セルビア出身のデヤン・ジュルイェヴィッチ暫定監督は、ワールドカップ予選敗退でブランコ・イバンコヴィッチ監督が解任された後、中国U-20代表から昇格して暫定的に指揮を執りました。しかし、東アジアカップでの惨敗により、その限界が明らかになりました。中国メディアは「チームが韓国と日本の強度と組織力に対応できていなかった」と指摘し、試合準備と戦術分析に根本的な問題があったことを示唆しました。
ジュルイェヴィッチの戦術面での批判も相次ぎました。特に「過度なサイド攻撃への依存」「中央での創造的な攻撃機会の欠如」が問題視され、中国サッカー協会関係者は非公式に「チームが彼の指導の下で後退した」との失望を表明したと報じられています。香港戦後、ジュルイェヴィッチはすぐにU-20代表の職務に戻り、中国代表の正式な監督探しが本格化することになりました。
次期監督候補パウロ・ベント:救世主か新たな失敗か
東アジアカップ惨敗後、中国サッカー協会は新監督探しを急いでおり、筆頭候補としてパウロ・ベント氏の名前が挙がっています。ポルトガル出身のベント氏は2018年から2022年まで韓国代表を率い、2022年カタールワールドカップでベスト16進出を果たした実績があります。2025年3月にUAE代表を解任された後、現在はフリーの状態で、中国側の関心を高めています。
しかし、ベント氏の起用には議論もあります。2017年に中国の重慶力帆(現在の重慶両江競技)で1シーズンのみ指揮を執った際は成果を上げられずに解任されており、中国サッカー文化への適応に疑問の声もあります。また、UAE代表時代もアジアカップでPK戦敗退を喫するなど、最近の成績は必ずしも良好とは言えません。中国メディアは「監督の任命に関係なく、選手育成と国内リーグの質的向上という根本的な問題に取り組まなければ、意味のある改善は期待できない」と指摘しており、単なる監督交代では解決しない構造的な問題があることを示唆しています。