“キム・ギドン・ダービー”から“キ・ソンヨン・ダービー”へ：2025年最熱のソウルvs浦項、その舞台裏と韓国サッカー文化

運命のイタズラ？キ・ソンヨン移籍が火をつけた“新ダービー”

皆さんは知っていましたか？2025年6月29日、FCソウルと浦項スティーラーズの一戦は、単なるKリーグの試合を超えた“運命の対決”となりました。理由は、ソウルのレジェンドであるキ・ソンヨンの電撃移籍。24日に移籍報道が出てからわずか5日後、しかもソウルでの登録が間に合わず出場は叶わなかったものの、彼の存在が両チームとファンの間に大きな波紋を広げました。

キ・ソンヨンの決断：19年ぶりの移籍、その真意と家族の影響

キ・ソンヨン選手は19年間ソウルに在籍し、韓国サッカーの象徴的存在でした。しかし今季は出場機会が減り、引退も考えていたと語っています。転機となったのは娘の「なぜパパは試合に出ないの？」という一言。家族の支えと“最後にもう一度ピッチで輝きたい”という思いが、浦項行きの決断を後押ししました。浦項では初心に戻る意味を込めて背番号40を選択し、2025年シーズン限りでの現役引退も示唆しています。

ファンの反応：怒り、悲しみ、そして新たな希望

この移籍劇に対するファンの反応は非常に激しいものでした。ソウルサポーターは“レジェンドを守れなかった”クラブとキム・ギドン監督への怒りを表明。SNSやコミュニティでは「なぜキ・ソンヨンを手放すのか」「これで応援をやめる」という声や、トラック抗議、黒い応援席、さらにはクラブへの葬式パフォーマンスまで行われました。一方、浦項ファンは大歓迎ムードで、キ・ソンヨンの加入に大きな期待を寄せています。

キム・ギドン監督との不和説と公開ファンミーティング

移籍の裏にはキ・ソンヨンとキム・ギドン監督の不和説も浮上。実際には両者とも“誤解は解けた”とコメントしていますが、ファンの間ではさまざまな憶測が飛び交いました。ソウルではファンとの公開ミーティングが行われ、監督自らが経緯を説明し、ファンの不満や悲しみに共感を示しました。韓国サッカー界ではこうした“クラブとファンの直接対話”が文化として根付いています。

試合レビュー：ピッチ上の熱狂と静かな抗議

6月29日の直接対決では、キ・ソンヨンは登録の都合で出場できませんでしたが、スタジアムは異様な熱気に包まれました。FCソウルが4-1で快勝し、ルーカスやリンガードが活躍。ソウルサポーターは沈黙や黒一色の応援で抗議を示し、浦項側は新戦力への期待で盛り上がりました。試合結果以上に、スタンドの雰囲気やファンの感情が大きくクローズアップされた一戦となりました。

コミュニティの声：韓国ネットのリアルな反応

ネイバーやダウム、ディシインサイド、FMコリア、PGR21など主要コミュニティでは、ソウルファンの約70%がクラブや監督への批判的コメントを投稿。「どうしてレジェンドを手放すのか」「もう応援できない」といった声が多数。一方、浦項ファンの80%はキ・ソンヨン加入を歓迎し、戦力アップへの期待を語っています。ディシインサイドやFMコリアではミームや戦術議論、PGR21では移籍の裏話まで多様なトピックが盛り上がっています。

文化的インサイト：韓国サッカーとファンダムの特異性

海外ファンの皆さんに知ってほしいのは、韓国サッカーにおける“クラブと地域の誇り”、そして“選手とファンの絆”の強さです。FCソウルと浦項は単なるクラブ以上の存在であり、キ・ソンヨンはワールドカップや欧州経験もある国民的スター。移籍は“裏切り”と受け取る人もいれば、“新たな挑戦”と捉える人もいます。韓国のファン文化は抗議や感動的な別れも含め、世界でもユニークな情熱を持っています。

今後の展望：キ・ソンヨンと両クラブの未来

この一連の騒動を経て、キ・ソンヨンは次節の全北戦で浦項デビューが有力視されています。FCソウルはファンとの信頼回復と新たなチーム作りが急務。一方、浦項はキ・ソンヨンの経験とリーダーシップでタイトル争いを目指します。キ・ソンヨン自身にとっては、ピッチで有終の美を飾るラストチャンス。2025年の“Kリーグ最大の話題”は、今後も多くの議論と感動を呼ぶことでしょう。